2024年5月18日
  • 物流の明日を考える ~Think about the future of logistics~

リモートワークの現時点での限界点

インターネットでもテレビでも、ニュースを見ればコロナウイルス関連ばかりの最近。不要不急の外出を控える様にとの報道の中で、よく耳にするのが「リモートワークの推進による外出を控える」ようにとのアドバイス。

実際に多くの企業ではリモートワークの推進によって出勤を極力控え、人と人との接触を抑制するための施策をとっているようですが、実態としてはほんの一部の企業での話であり、未だ大多数は何らかの手段で会社へ出勤し、事務所内で内外多くの人と接触し、何らかの手段で自宅へ帰るという、今まで通りの日々を過ごしていることでしょう。

※さすがに「仕事帰りに一杯呑んで帰りましょう!」は少なくなっている様ですが。

 

「働き方改革」から始まり昨今の事情によって、もて囃される「リモートワーク」がなかなか拡大しないのは何故か。

理由の一つは企業の在り方にあるのではないでしょうか。

例えば、フェースtoフェースでの業務の進め方から突然方向転換を命じられた上司にとっては業務進捗の管理をどのように行うか戸惑う部分も多いでしょう。

管理に於ける基本的な事項である「報・連・相」をメールや電話だけで済ませる事に抵抗を感じるのは致し方ない事かもしれません。

また、書類・各種データのデジタル化・クラウド化が遅々としており、事務所に居なければ業務を行う為に必要な情報を入手出来ないという雰囲気もあるかもしれません。

遠隔地での作業の為の移動中・作業中に発生した事故は労災として認定されるのでしょうか…

※自宅での作業中の事故が労災認定された事例はありますが、近所のカフェ等への移動中となるとどうでしょうか…

PCを自宅へ持ち帰る事による情報漏洩への心配もあるかもしれません。

また在宅勤務による労働時間管理が困難となることもあげられます。実際にアメリカでは生産性の向上は環境の変化によるものではなく、在宅勤務によって、単純に労働時間が延長された事によるものである、との報告もあります。これは時間あたりの労働生産性の向上ではなく単純な工数像による日生産量の増加となっただけの話です。

 

もう一つの大きな要因はリモートワークに適さない業態が非常に多い事も挙げられるでしょう。

例えば「生産ライン管理」「物流現場管理」といった、その場に居なければ仕事にならないと感じられる職種はどうでしょうか。これらの職種では「働き方改革」の恩恵は得にくいものとなります。

勿論、クラウドを活用した管理手法の確立等によって、リモートでの稼働も可能ではあります。しかし、企業側が多額の投資を行いこれらを推進することを難しく感じる事は想像に難く有りません。

 

昨今の人材不足への一石とも成り得る「働き方改革」ですが、現段階では社会フレームとの適合にはまだまだ時間と工夫が必要となりそうです。

とはいえ、世の中には上記のための様々なToolが凄まじい勢いで提供されています。また、それらのToolの活用まではもう少し時間が掛かるとしても、特定工程(間接部門等)に対しては積極的に推進する事によって、リモートワークの文化を先駆けて構築出来るかもしれません。多様な働き方の為の仕組みを検討しておられる企業様にとっては非常に面白い時期であるといえるのではないでしょうか。

今朝のニュースを見ながら感じた、そんな話です。